中学受験の考え方

【中学受験】睡眠時間は10時間寝ないと「生活習慣病」になります!

眠る子ども

中学受験のための勉強を真面目に行っているお子さまに多いのが「睡眠不足」です。

子どもが睡眠不足になると下記のような病気になる可能性があります。

子どもが睡眠不足になるとかかりやすい病気

・生活習慣病

・高血圧

・免疫力の低下

また、「子どもが睡眠不足になるとかかりやすい病気」に記した事項以外にも、睡眠不足は勉強したことの記憶の定着を阻害します。

せっかく一生懸命勉強したことも無駄なってしまうぐらいなら、しっかりと睡眠を取った方が断然得なのです。

中学受験は小学4年生~小学6年生の間勉強を続けなければならない非常に長丁場な受験勉強期間です。

一度体調をを崩して休む期間ができてしまうと休んでしまった分他の子どもに差をつけられてしまいます。

受験生は体が資本です。

お子さんが勉強のし過ぎで、体調を崩さないようまずは親御さんがお子さんの睡眠から気にしてあげるようにしましょう。

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子どもの睡眠状況と認知機能低下

この章の要約

・一般的な10歳~14歳の睡眠時間は8.6時間

・睡眠時間が短くなると子どもの認知機能が低下してしまう

現代の中学受験塾は、夕方から夜の20時ごろまで授業を行っている塾が多いです。

真面目な子であれば、授業後も自習室にこもって、授業の復習や宿題に取り組む子も多くいます。

一生懸命勉強していて塾の閉まる22時~23時まで勉強して、そこから家に帰って、ご飯を食べてお風呂に入って・・・。としていたらあっという間に24時を過ぎてしまいます。

総務省の統計によると10歳~14歳の平均睡眠時間は8.6時間であることが分かっています。(引用:総務省統計局「平成28年生活基本基礎調査」より)

遅くまで勉強をしていて眠るのが24時を越えてしまい、次の日も学校がある場合には睡眠時間は6時間~7時間程度になってしまうと考えられます。

日本の論文では子供の睡眠不足による認知能力の低下も指摘されています。

適切な睡眠をとれていない幼児には認知能力の遅れが見られるという指摘もあり、睡眠と高次脳機能との関連が示唆されている。アメリカの高校生における学業成績と睡眠週間の関係についての調査によると、就寝時刻の遅い子どもほど、また睡眠時間の短い子どもほど成績が悪いことが報告されている。日本においても睡眠時間が短いあるいは長すぎる高校生で成績が低下していることが示されており、実験的な手法によって慢性的な睡眠不足が認知課題のパフォーマンス低下を引き起こすことを考え合わせると、睡眠時間の短縮は学業成績の悪化につながるといえよう。

夜更かしや睡眠不足で生体リズムが乱れると抑うつやイライラといった気分の悪さも出現する。中学生における就床自国の交代、夕方の過眠の頻度と日中の精神症状との関係をみた報告では、就床時刻が後退しているほど居眠りの頻度が高くイライラの程度が高く、抑うつや不安も症状が悪化していた。これは日の総睡眠時間と関係がなくむしろ生体リズムとの関係が深いと指摘している

このように、睡眠時間の短縮や生体リズムの変調は、身体の発育に悪影響を及ぼすだけでなく、認知や精神症状にも悪影響を及ぼし、日常生活に支障をきたすと考えられる。

(引用:国立精神・神経医療研究センター病院 亀井雄一 国立国際医療研究センター国府大病院 岩垂喜貴「子どもの睡眠」より) 

「子どもの睡眠」の論文で示されているのは「アメリカの高校生」「日本の中学生」など、中学受験をする年代の子どもに比べて、少し体の成長ができている世代です。

体の成長終わりに差し掛かっている世代でも、睡眠不足によって成績が悪化することが示されているのです。

体が未熟で、発達途上である小学4年生~6年生の子どもが睡眠不足に陥った際には高校生や中学生よりも成績が悪化してしまうことが予想されます。

少なくとも日本の10歳~14歳の平均睡眠時間に近しい8時間程度の睡眠はきちんととらせてあげましょう。

適度な睡眠は記憶の定着に効果的

勉強をする小学生
この章の要約

・睡眠は記憶の定着に非常に重要

・睡眠不足は学力の低下につながる

中学受験をする子どもにとって、睡眠をとることが最も大事な理由の一つとして、

「記憶の定着」

が理由として挙げることができます。

睡眠と記憶の定着についての論文は多くの学者が発表しています。単語の記憶と睡眠の関係に関する論文を紹介します。

睡眠中の対連合記憶増強

対連合記憶とは二単語を対にして記憶し、一方の単語を提示された時に対となる単語を答える課題であり、単語と意味を結び付けて学習する単語意味獲得をモデルにした陳述記憶課題である。対連合学習は睡眠をはく奪すると通常睡眠時と比べ学習成績が低下する。さらに徐波睡眠時の出現が比較的少ない後半睡眠はく奪では課題成績の低下はほとんど見られないことや、対連合学習後の睡眠段階2における睡眠紡錘波密度の増加およびこれと学習成績との正相関により、ノンレム睡眠と陳述記憶強化の関係が推測される。睡眠前のコリンエステラーゼ阻害剤投与により徐波睡眠中のコリン系活動を低下させると対連合学習の向上が抑制されることから、徐波睡眠中のコリン作動性神経活動が陳述記憶強化のメカニズムに重要な役割を果たしている可能性が示唆される。

(中略)

さらに記憶定着度と海馬活動の低下量には正の相関があり、さらに徐波睡眠出現量の長さとも相関があるという。

(引用:独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 成人精神保健研究部 栗林 健一「睡眠と記憶,認知機能」より)

「徐波睡眠」とは眠りについた後の3時間後に現れる「深い睡眠」のことです。

そしてこの論文でも示されている通り、

「記憶定着度・海馬の低下量・徐波睡眠の長さ」は正の相関があることが分かりました。

つまり、深い睡眠である「徐波睡眠」が長ければ長いほど「記憶の定着度」も高くなることが分かります。

中学受験を控えているお子さんに大切なのは「深い眠り」なのです。

冒頭の論文と合わせて考えると、

深夜まで勉強を行って、8時間未満の短い睡眠

22時には就寝して8~9時間の睡眠を取らせて、深く眠らせてあげる

日中から夜20時ごろまで勉強を行うと、子どもはクタクタに疲れてしまいます。

無理に夜遅くまで勉強をさせてしまうと、せっかく勉強したことも頭に定着させることができず、反対に学力の低下を招いてしまいます。

中学受験を控えているお子さまこそたっぷりと眠らせてあげることが重要なのです。

睡眠不足は脳機能以外にも体に弊害をもたらします!

眠れない子ども
この章の要約

・夜食の摂取と睡眠不足は生活習慣病を引き起こす恐れがある

・睡眠不足は子どもの高血圧の原因になる

・睡眠不足は免疫力の低下も引き起こす

大人も睡眠不足に陥ると体調を崩すことがあります。

子どもであればその傾向は顕著で、大人よりも睡眠不足による体調不良が表面化しやすいです。

そして、中学受験を行う子どもにとって最も気を付けなければならないのが

「免疫力の低下」です。

小学4年生から一生懸命に勉強をやっていたとしても、本番当日に「風邪」や「インフルエンザ」になってしまっては、受験さえも受けられない可能性があります。

風邪やインフルエンザの状態でも受験校にたどりつければ、「保健室受験」といって、保健室で試験に臨むことはできますが、100%の力を出すことは到底できないと考えられます。

子どもの睡眠不足による弊害を研究した論文を紹介します。

生活リズムの乱れと健康障害

1)生活習慣病

生活リズムが夜型化してくると朝起床後の朝食が少なくなったり、朝食を摂取しなくなって、一日の必要カロリー摂取が夜にウエイトが置かれるようになる。睡眠時間が短くなり、朝食を摂取しないことと相乗して、それが日中の活動性を低下させる。また、夕食が長く起きているので空腹のため夜食やおやつを食べるようになる。夜食は消火活動の高まりやエネルギー代謝を高め、体温を上昇させ、生活リズム、睡眠の悪化を招く悪循環を起こす。上記の要因に加えカロリー消費の少ない夜間にカロリー摂取が増加するために肥満、高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病などの生活習慣病の危険性が増加する。

2)高血圧

睡眠時間が短くなるほど唾液中のコルチゾール分泌量が増加し、交感神経機能の亢進があることが示唆される。藤内らは小学生を6年間にわたり睡眠時間、血圧、生活習慣、食事習慣などを縦断的に調査し、それぞれの関係について検討したところ、睡眠時間が標準以上のグループに比べ少ないグループにおいて収縮期血圧、拡張期血圧ともに高くなっていることが明らかになった。慢性の睡眠不足が血圧を上昇させることが推測される。

3)免疫機能の低下

睡眠の乱れがあるとナチュラルキラー細胞活性や細胞性免疫機能の低下が起こり、生体の防御機能が変調をきたす。

(引用:鳴門教育大学障害児教育講座 橋本俊顕「子供の睡眠の現状」より)

この論文でも示されている通り、子どもの睡眠不足・睡眠の乱れにはこのような弊害があります。

1)生活習慣病

肥満の子どものお腹

受験勉強を遅くまで頑張っている子供にはつい「夜食」を準備してあげたくなってしまいます。

しかしながら、論文でも示されている通り、恒常的な夜食の摂取は「生活習慣病」の原因になってしまいます。

特に「糖尿病」になってしまうと合併症として「失明」や「手足の切断」など、中学受験どころではない状態となってしまいます。

極端な例ではありますが、中学受験は健康が第一です。

親の親切が子供の体調を崩してしまう可能性があることを十分に理解しておく必要があります。

2)高血圧

高血圧の画像

高血圧は大人特有で発症する症状であるイメージではありますが、子どもも睡眠不足によって高血圧になることがこの論文からわかります。

特にこの論文で登場する「コルチゾール」という物質は

別名「ストレスホルモン」

とも言われています。

睡眠不足によって、コルチゾールが出るという事は体がかなりの高次元で「危険信号」を出していることが分かります。

お家の中でこのコルチゾールの値を測ることはできませんが、睡眠不足によってお子さんの体には確実にストレスが、溜まってしまいます。

そして、高血圧はそれだけでは大きな病気とは言えませんが、その先に脳血管疾患や心疾患の危険性をはらんでいます。

中学受験を頑張りすぎてお子さまが亡くなってしまうなんて、そんな悲しいことは絶対に避けるべき事象です。

このような事態にならないためにも、お子さまには十分な睡眠を取らせてあげましょう。

3)免疫機能の低下

風邪をひいてマスクをする女の子

この論文に記載されている免疫機能の低下の部分の「ナチュラルキラー細胞」とは白血球の中に含まれている、外から入ってきた病原体を一番最初に殺しに行く免疫細胞です。

この細胞が睡眠不足によって変調をきたすという事は、すなわち

「外からやってくる病原菌に体が勝てなくなってしまう」という事です。

中学受験の本番は1月~2月という最も風邪やインフルエンザの流行りやすい時期です。

この時期に免疫力を低下させてしまう行為は「自殺行為」に等しいことがおわかりいただけると思います。

中学受験の集大成でもある試験本番の1ヵ月前からは確実に十分な睡眠をお子さまに撮らせてあげることが非常に重要です。

まとめ

寝てる子どもの画像

真面目な子ほど「たくさん勉強しないと」「宿題を終わらせないと」と言って、夜遅くまで勉強を行います。

その一因としては親御さんが「一生懸命勉強することは偉い!」といって手放しにほめてしまっているからかもしれません。

子どもは、自分で「どれぐらい寝るべきか」「何時に寝るべきか」という事をまだ自分の頭で考えることができません。

今回の記事で記したように中学受験を控える小学生こそ「睡眠」が非常に重要であることがります。

「もっと勉強がしたい!」とお子さまが言ったとしても、睡眠も受験において重要な要素であることを親御さんがしっかりと説明してあげましょう。